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水戸地方裁判所 平成6年(行ウ)2号 判決

原告

平田房生

平田恵美子

被告

茨城県土浦県税事務所長 長島肇

右訴訟代理人弁護士

片桐章典

被告指定代理人

飯山修

山本文雄

野口圭市

山本和夫

事実及び理由

第三 争点に対する判断

一  地方税法七三条の一三第一項は、「不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とする」と定めている。そして、同条の二一第一、第二項は、道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格をもってその不動産の価格と決定し、右台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産については、同法三八八条一項の固定資産評価基準によって、その不動産の価格を決定するものとしている。

ところで、〔証拠略〕によれば、本件家屋は新築建物であるため固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産であったことが認められるから、本件家屋の価格は右固定資産評価基準により決定されることとなる。

二  〔証拠略〕によれば、固定資産評価基準(昭和三八年自治省告示第一五八号)に定める家屋の評価方法は、再建築価格方式(評価客体と同一のものを再建築し、これに要した費用に各種増減価を施して、その価格を決定する方法)を採用しており、その具体的算出方法は、評価対象家屋を主体構造、基礎、屋根、外壁、内壁、床、天井、建具、建築設備等に区分し、各区分ごとに資材の種別、品等、形式、施行の態様を確認して、評点数を付設し、その評点数を評点一点当たりの価額に乗じて評価額を算出するというものであるが、この場合の評点数は、再建築費評点基準表を用いて付設された再建築費評点表を基礎とし、必要に応じて、これに経年減点補正率基準表等によって家屋の損耗の状況による減点を行って付設されるものであることが認められる。

そして、原告らが本件処分の違法をいうのは、帰するところ本件家屋の評点数の付設が適切を欠くことをその理由とするものであり、このことは、原告らの主張より明らかである。

三  そこで、検討するのに、〔証拠略〕によれば、別紙一覧表の「被告主張」欄記載のとおりの事実が認められ(なお、各項目ごとに認定に供した証拠は、同一覧表の「証拠」欄に掲記したとおりである)、これによれば、被告の付設した評点数が妥当を欠くものであったとは認められない。したがって、原告らの主張は採用することができないが、原告らが主張するものの中には、より詳しく判断理由を示すのが適当であると思われるものもあるので、以下これらの点について若干の説示をすることとする。

1  別紙一覧表の「争点」欄2記載の事項について

原告らは、本件家屋における各階の湯沸室及びトイレの間仕切部分の合計面積は一七二・一平方メートルではなく、六二・四平方メートルであると主張する。しかしながら、〔証拠略〕によれば、本件家屋の各階の湯沸室及び便所には間仕切部分が存在するところ、本件家屋の天井の高さは一階が二・七メートル、二階ないし六階がいずれも二・五メートルであること、そして、各階の湯沸室の間仕切部分の側面の一辺は二メートルと二・五メートルであり、その二・五メートルの側面には高さ一・七五メートル、横幅〇・七六メートルの扉(木製フラッシュ戸)が一か所設置されていること、また、各階の便所の間仕切部分の側面の一辺はニメートルと二・七メートルであり、この他にPSとの境に一・七メートル、便所内部にも二メートルの各間仕切部分が存在し、右内部と前記二・七メートルの間仕切部分には湯沸室と同一の規模の扉がそれぞれ一か所合計二か所設置されていることが認められる。したがって、右間仕切部分の面積は、一階においては、二メートルに天井の高さ二・七メートルを乗じて得られる面積部分が二か所、二・五メートルから扉の横幅〇・七六メートルを控除した一・七四メートルに天井の高さ二・七メートルを乗じて得られる面積部分が一か所、二・七メートルから扉の横幅〇・七六メートルを控除した一・九四メートルに天井の高さ二・七メートルを乗じて得られる面積部分が一か所、二メートルから扉の横幅〇・七六メートルを控除した一・二四メートルに天井の高さ二・七メートルを乗じて得られる面積部分が一か所、一・七メートルに天井の高さ二・七メートルを乗じて得られる面積部分が一か所、各扉より上の部分、すなわち天井の高さ二・七メートルから扉の高さ一・七五メートルを控除した〇・九五メートルに扉の横幅〇・七六メートルを乗じて得られる面積部分が三か所、各存在することになるので、その合計は三〇・八四平方メートルとなり、二階から六階においては、天井の高さがいずれも二・五メートルと一階とは〇・二メートル異なるだけで、その他の構造は一階と同様であるから、湯沸室及び便所の間仕切部分の面積は各階いずれも二八・二六平方メートルとなることが認められる。したがって、右間仕切部分の面積の合計は、一七二・一平方メートルとなり、被告の主張する面積は正確であり、前記原告らの主張は採用することができない。

2  別紙一覧表の「争点」欄3記載の事項について

原告らは、本件家屋の屋根仕上げは露出防水(標準評点数四二〇〇)であって、被告が主張するようなアスファルト防水モルタル仕上げではない旨主張する。しかしながら、〔証拠略〕によれば、本件家屋の屋根仕上げはアスファルト防水(モルタル三層)仕上げであることが認められるから、右原告らの主張は採用することができない。そして、〔証拠略〕によれば、被告は右アスファルト防水(モルタル三層)につき五六〇〇の評点数を付設したことが認められるところ、〔証拠略〕によれば、これは、固定資産評価基準には、モルタルの評点項目として一二層、八層、六層があるのみで、本件のようにモルタル三層の評点項目はないことから、右一二層、八層、六層の標準評点数を基礎に、これを比例配分して算出したことが認められるが、こうした被告の算出手法と結論は妥当なものとして、是認できるものである。

3  別紙一覧表の「争点」欄6記載の事項について

原告らは、本件家屋の空調設備は、ダクトを通じて冷暖房する集中方式ではなく、各部屋ごとに取り付けられているルームクーラーであり、建物と構造上一体となっているものではないから什器備品であり、評価から除外すべきであると主張する。しかしながら、〔証拠略〕によれば、本件家屋の空調設備は、被告の主張するとおり、各階とも室内天井への埋め込み型であり、設備の状況からして、個別に独立したルームクーラーではなく、建物と構造上一体となった空調設備(パッケージ型もしくは小型ヒートポンプパッケージ型エアコン)であると認められるから、原告らの主張を採用することはできない。そして、〔証拠略〕によれば、被告は、空調設備においてレシプロ冷凍機の標準評点数一万六二〇〇に〇・六を乗じた数値を本件家屋における空調設備の評点数としていることが認められるところ、〔証拠略〕によれば、被告はパッケージエアコンディショナーの規格品の価格が低廉であるため〇・六の減点補正を行ったことが認められ、〔証拠略〕によれば、右程度の減点補正は適正・妥当なものということができるから、被告のした減点補正に違法があるとは認められない。

4  別紙一覧表の「争点」欄7記載の事項について

原告らは、給水設備の管材は塩化ビニール管であるから、補正係数は〇・八五とすべきである旨主張する。なるほど〔証拠略〕によれば、被告は、本件家屋の衛生設備のうち給水設備の補正項目である管材について、補正係数を一・二としているが、固定資産評価基準における給水設備の管材の補正係数は〇・八五ないし一・一五であることが認められる。しかし、〔証拠略〕によれば、本件家屋の給水設備の管材は塩化ビニルライニング鋼管であることが認められるので、その補正係数を一・二程度として増点補正することはやむを得ないところであり、被告の採用した補正係数が妥当を欠くものということはできない。

5  別紙一覧表の「争点」欄10記載の事項について

原告らは、本件家屋の仮設工事における建物の程度の補正係数は一・〇五ではなく、一・〇が適当であると主張する。しかしながら、〔証拠略〕によれば、仮設工事の補正項目のうち建物の程度については、中層(四階建程度)の建物を標準として、それより低層の建物については減点補正をする一方、より高層の建物については、当該建物の階層の程度に応じ増点補正をするのが妥当な措置であると認められる。そして、本件家屋が六階建ての建物であることからすれば、被告が補正係数を一・〇五としたことは、適正なものとして是認することができる。

第四 結論

以上の次第であるから、本件処分の違法をいう原告らの本訴請求は理由がない。よって、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 川﨑和夫 裁判官 山﨑勉 矢数昌雄)

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